
むかし、ある町のはずれに、八幡さまをまつった神社がありました。
この神社の後ろの高いすぎのてっぺんに、
おぶさりてえー、おぶさりてえー
とさけぶ、こわい化け物がいました。
毎日、日ぐれになるとさけぶので、町の人たちはこわがって、だれひとり外へ出るものもなく、町はひっそりとしていました。
むかし、ある町のはずれに、八幡さまをまつった神社がありました。
この神社の後ろの高いすぎのてっぺんに、
おぶさりてえー、おぶさりてえー
とさけぶ、こわい化け物がいました。
毎日、日ぐれになるとさけぶので、町の人たちはこわがって、だれひとり外へ出るものもなく、町はひっそりとしていました。
むかし、あるところに、おいてけぼりというおほりがありました。
このおほりには、こいやふながたくさんいて、つり糸をたらせばどんどんつれるので、人が大ぜいつりにきました。
ある日、ひとりのとっつぁまが、このほりに魚をつりにきました。
糸をたらすと、そのたびにつれます。
すっかりごきげんになってつっていると、夕ぐれになって、つりにきていた人たちは、ひとり、ふたりと、道具をしまって、帰り始めました。
むかし、あるところに、なかのよいふうふがいました。
ある時、このふうふが、山の向こうのよめさまの里へ出かけていきました。
山のとちゅうまできた時、とつぜん山ざるのむれがあらわれて、よめさまを山のおくへさらっていきました。
「助けてーっ。」
という、よめさまの声のする方へ、男はけんめいに追いかけていきましたが、さるどもは、風のように消え、あたりはしいんとして、木の葉が風にゆれる音ばかりです。
むかし、太郎と次郎と三郎という兄弟が、おかあさんとくらしていました。
ある時、おかあさんが重い病気にかかってしまい、しきりに、
「山なしが食べたい・・・。」
と、うわごとをいいます。
何とかして、おかあさんに山なしを食べさせたいと、三兄弟は思いました。
屋根うらのかやのぼうを一本ぬきとると、そのぼうでもちをつきさし、そっと上へ引き上げました。
「うはうは、あちあち、うまいうまい。」
ひとつ食べると、もうひとつ食べたくなりました。
山んばは、まだこっくりこっくりいねむりをしています。
山んばは、食うものがなくなると、いいました。
「牛方よう。その牛をよこせ、その牛を食わせろ。」
牛方は、もうこれはいかんと思って、牛をそこにほうり出したまま、にげ出しました。
むかし、あるところに牛方がいました。
牛方というのは、牛に荷物をつんで運ぶ人のことです。
ある日のこと、牛方が、牛のせなかにさばをたくさんつんで、山道を通りかかりました。
もう日ぐれ近くで、うす暗くなりかけて、さびしいような、こわいような山道です。
町の川の上に、橋がかかっていました。
ある男が、夜おそくこの橋の上を通りかかると、ひとりの女が、こまったようすでかがみこんでいます。
「どうなさったかね。」
と、男が声をかけました。
むかし、あるところに、びんぼうな男がおりました。
その男は、なかなかおよめさんをもらいません。
(うちはびんぼうだから、ものを食うようなよめはこまる。
何も食べないよめならもらってもいい。)
と、思っていました。
すると、何日かたって、男の家へきれいな女がきて、いいました。
こぞうが戸のすきまからのぞいてみると、口が耳までさけたおばあさんが、ぎらぎら光るほうちょうをといでいるのでした。
(やっぱり、山んばだったんだ。)