
そのあくる日のこと、
おじいさんが山へ行くと、
前の日と同じように、また
「どっこいしょ、どっこいしょ。」
という、かけ声が聞こえてきます。
行ってみると、きのうのようにねずみたちが、すもうをとっていました。
おじいさんがこっそり見ていると、やせねずみの強いこと、強いこと。
長者の家のねずみを、何度もばった、ばったと投げとばしています。
長者の家のねずみがいいました。
「どうして、おまえはひとばんでそんなに強くなったんだい。」
「おらは、夕べ、もちをうんとごちそうになったんだ。
それで強くなったのさ。」
それを聞いた長者の家のねずみは、
「それじゃ、おらもつれてってくれ。おらももちが食いてえ。」
ところが、やせねずみは、
「もうないんだよ。
家(うち)のおじいさんはもち米をぜんぶ使っちゃったから、正月がきても、もちが食えないんだよ。」
と、いいました。
おじいさんとおばあさんは、びんぼうなので、もち米をほんの少ししか持ってなかったのを、ねずみも知っていたのです。
それを聞くと長者の家のねずみは、
「それは気のどくなことだ。
おらが、もち米のあるところを知っているから、ついておいで。」
といって、やせねずみをつれて、長者の家のくらの中へ入っていきました。
そこには、もち米がぎっしりしまってありました。
二ひきのねずみは、そのもち米をせっせとおじいさんのところへ運んだので、おじいさんと、おばあさんは、いつももちをついては、たっぷり食べることができました。