
佐助はすなの上におりてみました。
すなはきらきらと月の光にてらされて、金色に光っています。
「きれいなすなだなあ。これでなべをみがいたら、どんなにきれいになるだろう。」
佐助は手おけにいっぱいすなをつめ、船へ持って帰りました。
そして、次の朝。
佐助が目をさましてかんぱんに出てみると・・・、
ふしぎ、さばくはどこへやら、船のまわりはいつものように、はてしない海ばかり。
佐助が夕べのさばくのことをみんなに話しても、だれもしんじてくれません。
「おめえ、ゆめを見たんだよ。」
「ゆめなんかじゃねえ。そんなら、夕べのすな見せてやる。」
佐助が手おけのすなのところへ行ってみると、おけの中のすなは、きらきらと光る金のすなにかわっているではありませんか。
佐助ばかりでなく、船じゅうの者が、これにはびっくり。
船頭は、
「これは、海の神さまが佐助にさずけたものにちがいねえ。」
と、いいました。
船頭は、佐助がいつもいっしょうけんめいはたらくこと、そして食べ物ののこりをだいじにして、魚たちにいつもあげていることを、よく知っていたのです。
「こりゃあみんな、佐助のもんだ。」
りょうしたちはみんな、うなずきました。
金のすなを島へ持って帰った佐助は、それで大きな船を買って船頭となり、やがてそのあたりでいちばんの長者になりました。
それからというもの、この島の人たちは、海に食べ物ののこりをすてる時は、
「魚や、魚、どんどんお食べ。」
といって、魚たちによびかけたそうです。